相続の基本

そもそも「相続」とは

亡くなった人(被相続人)の家や土地、銀行の預金などの財産を引き継ぐこと。
この財産を「相続財産(遺産)」といい、引き継ぐ人のことを「相続人」といいます。
終戦直後の昭和22年5月2日までは、被相続人の長男が全てを引き継ぐのが一般的でした。今では法律が変わり、被相続人の長男に限らず、全ての子・配偶者、家族状況によっては親、兄弟姉妹なども相続することができます。

一般的な相続の流れ

相続開始
死亡届の提出7日以内
市町村役場に、死亡診断書または検案書を提出
お通夜・葬儀
葬祭費・埋葬料・生命保険金の請求
厚生年金受給停止の手続き10日以内
国民年金受給停止、健康保険証の返却・変更・廃止の手続き14日以内
遺言書の有無の確認
法務局保管以外の自筆証書遺言がある場合は裁判所で検認手続きを行う
相続人の確定・相続財産調査3ヶ月以内
負の財産が多いときは「相続放棄」または「限定承認」を検討
準確定申告4ヶ月以内
遺産分割協議書の作成
誰が、どの遺産を、どれだけ相続するか相続人全員の合意のもと決定する
相続財産の名義変更
相続税の申告・納税
※申告・納税が必要な方のみ4ヶ月以内

誰が相続人になるのか?

被相続人が遺言書によって遺産の受取人を指定していない場合、相続財産は民法で定められた法定相続人が引き継ぐことになります。

法定相続人は
配偶者相続人+血族相続人

法定相続人は配偶者相続人と血族相続人に大別されます。それぞれみていきましょう。

配偶者相続人

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に法定相続人となることができます。
ただし、この場合の配偶者は、法律上の配偶者であることが求めれ、内縁関係や事実婚の状態にある配偶者は含まれません。

血族相続人

配偶者以外の親族は、被相続人との血縁関係によって相続できる優先順位が定められています。この優先順位を相続順位といいます。相続順位には3つの段階が設けられており、上の順位の人がいる場合、下位の親族は相続することができません。

第一順位
被相続人に子どもがいる場合、子どもが法定相続人となる
第二順位
被相続人に子どもがおらず親が存命の場合、親が法定相続人となる
第三順位
被相続人に子どもがおらず親がすでに亡くなっている場合、兄弟・姉妹が法定相続人となる

同順位の人が複数いる場合、その全員が法定相続人となります。
配偶者がいないからといって下位の相続順位に枠が増えるということはない。

相続財産の対象

相続財産には、預貯金や不動産などの資産だけでなく、借金などの負債も含まれます。

プラスの相続財産(資産)の例

不動産
自宅の土地や建物、畑、山林、投資用不動産(区分マンション・アパート)、他
現金・有価証券・債権
現金、銀行に対する預貯金債権、株式、配当金、小切手、他
動産
自動車、骨董品、貴金属、高級時計、家財、他

マイナスの相続財産(負債)の例

債務
借金、住宅ローン、買掛金、損害賠償債務、未払家賃、他
その他
未払いの税金、未払い光熱費、他

遺産分割の方法

遺言書が残されてない相続では、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決めます。遺産の分け方には次の4つの方法があります。

現物分割
個々の財産をそのままの形で各相続人が取得する方法
代償分割
特定の相続人が評価額の高い財産を相続する代わり、他の相続人に対して個人財産を渡して調整する方法
換価分割
不動産などの相続財産を売却して、その売却益を相続人で分ける方法
共有分割
不動産などの相続財産を売却せずに、分割した所有権を各相続人が取得する方法